
投資の本は古今東西様々なものがあります。
いわゆる1000円本と呼ばれるものや、お世辞にも「良い」とは言えないものも多くありますが、中には良書と言えるものもたくさんあります。
そして良書の多くはFXに限定せず、株や先物といったように相場全般に言及していることが多い傾向があります。
FXだけしか通用しない、特定の時間帯だけでしか通用しない、特定の通貨ペアだけでしか通用しない。それでも「通用する」なら試したくなる気がするのは仕方ありませんが、長い目で見ると、どんなものにも対応できる王道こそが強いのかもしれません。
今回ご紹介するのは明治生まれの投資家、立花義正の著書「あなたも株のプロになれる」。
FXだから関係ないやと思わずに、読んでみるときっと糧になること間違いありません。
明治生まれの投資家、立花義正
「あなたも株のプロになれる」の著者である「立花義正」という名前はFXの世界ではそこまで有名ではないかもしれません。
なにも「自分は知っているけどね、ハッハッハ」というわけではなく、一般的な知名度で言えばということです。
この立花義正さんは1909年(明治42年)生まれの投資家です。
1909年てすごいですよね。正露丸をたっぷり飲んで臨んだ日露戦争が終わって数年後、そろそろ第一次世界大戦を控える頃、とハァハァ取り乱してしまいました(今考えると、「ロシア(露)」を「征する」ってすごい名前の付け方です)。
とかなり以前の方なのですが、50歳頃までは上場会社で働く技術者だったそうです。
しかし、工場の事故で片足を切断してしまい、株を本格的に始めることにしました。
片手間にFXをやっているけれど、仕事や離婚などで本格的に始めた(始めたい)という方は特に気持ちがわかるのではないでしょうか。
1銘柄を10年
立花義正さんのポリシーは「専門をつくること」。
魚屋をやっている。隣の八百屋の方が儲かりそうだ、では八百屋をやってみよう。といったって商売のコツは共通していても商品知識は新しく仕込まなければならない。極端にいえば一年生だ。
「あなたも株のプロになれる」にはパイオニア株だけを10年間売買しているということが細かく書かれています。
途中、
「私はパイオニ屋なんです」
というギャグと思しきものが出てきますがそこはそっとしておきたいと思います…。
個人的には分散するという手法をとっているため、立花義正さんの考えとは真逆になってしまうのですが、専門を作るというのはとても共感できる言葉です(言っていることとやっていることが矛盾していますが)。
なんとなく、いきなり「月に100万円を稼ぐぞ!」というのは難しく思いますが、20万円くらいの収入源を5つと考えると割りとなんとかなったりするものです。もちろん人の何倍も働く必要はありますが。
そしてひとつの仕事が上手くいくと、自然と輪が広がってきたりと、経験上そんなイメージを抱いています(甘ちゃんかもしれません)。
FXは直接お金でお金を運用するため、もっとも利益率は大きくなりますが、ほかの仕事にはない「減る」というリスクがあります。そのためにも収入源を分散させるというのは賢い選択肢である気がするのですがどうでしょうか。
自動売買を使ったシステムトレードは、裁量トレードと比べると、比較的拘束時間が少ないというのもあるかもしれません。
チラシから離れろ
「あなたも株のプロになれる」の中にも書かれている「チラシから離れろ」。
FXブローカが勧める商品を買ったり、FXブローカが売り出している手法を鵜呑みにするほど危険なことはありません。
また、多くの人が注目し出したことは手を出さないが吉でしょう。
きっとFXを始めるとき、「みんなとは違うように」投資を始めてお金を増やすつもりだったはずです。しかし、そのFXの世界の中で「みんなと同じように」行動していてはやはり養分になってしまいます。
周りで本当に利益を出している人(利益を出している体になっている人は除く)は、自分を持っているのではないでしょうか。
この「チラシ」という表現良いですよね。「あなたも株のプロになれる」が書かれたのは1987年なので、妥当な表現だと思います。
今なら「ネットから離れろ」でしょうか。ブログ記事を書いている身としては複雑ですが…。
専門は強いのだ
パイオニア株だけを取引してきた立花義正さんはそう言います。
FXをやるときも自分だけの通貨ペアを意識するというのは大切なのかもしれません(はい、耳が痛いです…)。
僕の周りでは「ドル円」だけ派と「豪ドル円」だけ派が多い気がします。
自分だけの通貨ペアを見つけて(少年向けの商品のコピーみたいです)トレードをすればきっと上達するのかもしれません。
同時に、シャッターを下ろすのはもう少し先にして、専門を見つけるということに力を注ぐのも必要だと思います(人は加齢とともに新しいものを取り入れる力が衰えます)。
まとめ
明治生まれの投資家の声を聞く「あなたも株のプロになれる」、いかがでしたでしょうか。
FXの場合は、株ほど銘柄も多くないので通貨ペアはほどほどに取引手法を決めるというのも面白そうです。
僕はシステムトレーダですが、周りの裁量トレーダの方とお話すると、「色々な手法で取引している人がいるなぁ」と新鮮な気持ちになったりします。
今から約30年とインターネットもなかった時代に書かれた「あなたも株のプロになれる」。温故知新の言葉の通りおすすめの作品です。
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