5月のFXアノマリーは「セル・イン・メイ」!?


鯉のぼり
相場のアノマリーの中でおそらくもっとも有名なのもののひとつが5月の「セル・イン・メイ(Sell in May)」だと思います。

同時に多くの人に知れ渡っているからこそ機能しないという声もあります。多くの人が知っているから機能するのか、多くの人が知るほど機能しなくなるのか、お話は「鶏が先か、卵が先か」のようになってきました。

一部の人しか知らない情報が一般的に知られるようになると、飽和したと見なされ情報が販売されていくようになります。今、もっとも儲かるのはYouTuberではなく、YouTuberコンサルタントだと言われるのも納得です。

YouTuberになってお金を稼ぐのではなく、YouTuberになりたい人からお金を稼ぐ、皮肉なお話ではございますが、FXの世界だって遠からずだと思います。

今回のテーマは5月のFXアノマリー、セル・イン・メイはどのように機能するか見ていきたいと思います。

 

5月はヘッジファンドが手仕舞う

5月はヘッジファンドが中間期末としているため相場の方向が変わると言われています。

実需の100倍以上の資金量が動いていると言われる投機マネーは無視できません。そんなにあるんですね。FXが世界最大の賭博場と言われるのも無理ありません。

前後しますが、「セル・イン・メイ」はアメリカの株式市場の格言です。

ヘッジファンドが利益確定で手仕舞うと天井を付けることから、「5月に売れ」という意味になります。

為替相場の場合、取引は2国間の通貨のため、「売る」と言われても実際は片方の通貨を買うことになります。

  • ドル円を買う:ドル買い、円売り
  • ドル円を売る:ドル売り、円買い

そのため、「売る」というより相場が「反転する」というのが正しいのかもしれません。

そういえば「4月のアノマリー」も逆の動きをするとありました。

月によって順張りの月と逆張りの月を分けるだけで優位性が見つかるかもしれません。

 

5月に売る

ここからは5月のアノマリーを使っていくつかの検証結果を見ていきます。

最初は「5月に売る」。

そのままですが単純に5月にドル円を売りポジションを持って月末に決済した成績です。

5月のアノマリー1

  • 検証期間:1994年〜2014年
  • 損益:+393pips
  • 勝率:48%
  • 平均勝ち:294.9pips
  • 平均負け:232.3pips
  • PF:1.15
  • PR(損益率):1.27

数字はプラスになっていますが、グラフを見る限り実行するのは難しそうです。

 

4月と逆の方向にポジションを持つ

続いては相場が反転するということなので、4月の方向と逆のポジションをとりました。

5月のアノマリー2

  • 検証期間:1994年〜2014年
  • 損益:+631pips
  • 勝率:48%
  • 平均勝ち:306.8pips
  • 平均負け:221.5pips
  • PF:1.26
  • PR(損益率):1.38

おなじく数字はプラスですが、運用する勇気はありません。

 

1月〜4月と逆の方向にポジションを持つ

今度は4月だけでなく、その年の1月〜4月と逆の方向にポジションを持つことにしました。

5月のアノマリー3

  • 検証期間:1994年〜2014年
  • 損益:+244pips
  • 勝率:52%
  • 平均勝ち:261.2pips
  • 平均負け:262.9pips
  • PF:1.09
  • PR(損益率):0.99

1月だけで判定するのと大きく変わりません。少し悪化してしまいました。

 

11月に買って4月に売る

相場の世界では「5月に売る」というほかにも「10月に底をつける」というアノマリーがあります。

同様に「1年で最高の6ヶ月は11月から4月まで」と言われています。これは底をつける10月終わってから「セル・イン・メイ」の5月まで持つのと同じことです。

5月のアノマリー4

  • 検証期間:1994年〜2014年
  • 損益:+5,092pips
  • 勝率:67%
  • 平均勝ち:638.1pips
  • 平均負け:548.9pips
  • PF:2.33
  • PR(損益率):1.16

もっとも大きな効果を得られたのは、相場が底をつける10月が終わったあとにポジションを持って、4月の最終日に決済するという方法でした。

サンプル数が足りないということに関しては後述の「仮説検定」を使ってシステムを評価する必要があります。

 

 

日経平均株価で5月に売る

これまで見てきたのはドル円の検証結果です。為替相場の場合、2国間の通貨の強弱のため売るという概念がいまいち曖昧になってしまいます。前述の通り、ドルを売れば円を買うことになり、ドルを買えば円を売ることになります。

そのため、はっきりと5月に水準が下がるのか検証するために日経平均株価を使って検証してみましょう。

5月のアノマリー5

  • 検証期間:1991年〜2014年
  • 損益:+3,027円(1枚換算で+302万7000円)
  • 勝率:52%
  • 平均勝ち:771円
  • 平均負け:545円
  • PF:1.54
  • PR(損益率):1.41

日経平均株価で見る限り、5月に「売る」というのはたしかに信ぴょう性がありそうです。利益は日経225先物だと1000倍、日経225miniだと100倍になります。

 

「仮説検定」を使う

FXをやっている方には耳馴染みのない言葉かもしれませんが、「仮説検定」とは統計学で使われるアルゴリズムのひとつです。

ここまで月足で検証してきましたが、毎回月足は検証回数が少ないことがネックにあげられます。同様に短いバックテストのEAやバックテストがないミラートレーダーなどでも同じことが言えます。

検証回数が少ないとどのようなことが起きるかというと、「偶然」が起きてしまいます。

よく知られる「大数の法則」で言うところの、コインを1万回投げると表裏の出る回数は5,000回に近くなるけれど、10回投げると極端に偏ることがあるというものです。

そこで、どのくらいサンプルがあったときどのくらいの誤差があるのかというときに「仮説検定」を使います。「どのくらいの誤差」とはどのくらい調子が良いことが考えられるかを表します。いわゆるビギナーズラックと呼ばれるものです。

今回はアノマリーなので結果だけで計算方法は割愛します。

以下は成績の良かった2種類の検証結果のPFを表しています。カッコ内()は仮説検定で算出された最大PF(偶然で考えられるPF)を表しています。

  • 11月に買って4月に売る:2.33(2.49)
  • 5月に売る(日経平均):1.54(2.33)

「11月に買って4月に売る」はこのサンプル数だと最大2.49までのPFが考えることができます。反対に2.49以上のPFを持っている場合、正しいと考えます。

同じように「5月に売る(日経平均)」も最大2.33までのPFが考えることができます。

以上の点から、高いPF(成績)でも偶然の範囲内ということで、システムに優位性があると判断できないと言えます。

 

まとめ

5月のFXアノマリーは「セル・イン・メイ」!? いかがでしたでしょうか。

検証は大切ですが、検証結果からどれだけの誤差が考えられるかを知るために、今回は統計学を使って検証結果からシステムの実力を知る方法をご紹介しました。

検証結果が良い悪い、期間が長い短いではなく、そこからシステムの実力を知るというのも大切なことだと思います。


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しゃまらーしか

しゃまらーしか

ひょんなことからFXサイトを作ったシステムトレーダ。東京都港区在住。スプレッドシートを使って過去のチャートを分析するのが得意です。MT4を使ったEAの開発もしています。大好物の甘い物を求めて、今日もVivienne Westwoodのお洋服をこしらえて甘味処を探索しています。

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