「サヤ取り」を使ってFX相場からコツコツ利益を得る


和泉守兼定
ということでビッグマック指数についてご紹介しました。えっ?してない?本当はfx-onと連動する記事を書いてみようと思ったのですが、誰かさんがECBで紙吹雪をまき散らしたためにすべての予定が変更した次第です。

そもそもECBの翌日に予定を立てるということが無謀なのではございますが、相場師たるもの丁半博打に出たところ負けました(「予想」なんて専門用語並べたところでそんなものです)。

同じものを見たとき、ふたつの場所で異なる価格が表示されている場合、ひとつの価格に動き均衡するというのが分かりました。今はあまりにビッグマックの価格に差があることも分かりました。

それでは商材などでもよく見かけるFXのサヤ取りについて見ていきます。

 

サヤ?

SEOは突き詰めるとキーワードのみになると言われていますが、まさに「サヤ」でございます。

サヤ?

「鞘」

鞘…!?

FXなど相場の世界では「サヤ取り」などと言われてることがあります。「サヤ取り」と言うと先物を想像する方もいらっしゃると思いますが、「fx-on」という名前にふさわしく「FX」に限定してみましょう。

「サヤ取り」は「裁定取引」や「アービトラージ」とも言われ、ウィキペディアには以下のように定義されています。

金利差や価格差を利用して売買し利鞘(りざや)を稼ぐ取引のこと

先日、びっくりしたのですが、サヤ取りの手法では「勝率90%」や「必ず勝つ」などという表現が平気でされているんですね(FX商材でも「勝率90%」はされていますか)。そんなモノがドローダウンになっているのを見るとコナン君よろしく「あれれ~おかしいぞ~」となりますが、そこはそっとしておくのが大人です。

投資の世界に絶対はなく、反対に言えばこれが商材屋の逃げ道となっていると言っても過言ではありませんが、たしかに「サヤ」を意識した取引というのは通貨の特性を踏まえると優位性が高いことでも知られています(ファンダメンタルズ分析はこういうときに使うものではないでしょうか)。

 

FXで言うところの「サヤ取り」

ビッグマック指数では2国間のビッグマックの価格に差があった場合、差が収束するように予想されるとありました(「予想される」って便利な表現ですね)。実際はもっと複雑な事情が絡んでいると思うので、そう簡単にビッグマックの価格は変わらないと思いますが。

さて、これをFXで考えてみましょう。

ビッグマックではビッグマックを中心に考えたので、FXではドルを中心に考えてみます(もちろん円でも問題ありません)

ユーロドルとポンドドルは同じヨーロッパということもあり、比較的均衡がとれている通貨と言われます(「相関関係がある」とも表現できます)。

その場合、ユーロドルの価格に対してあまりにポンドドルの価格が高いと(または安いと)価格が元に戻る傾向が強くなります。

ユーロドルが上がり過ぎたので「売る」、ポンドドルが下がり過ぎたので「買う」ということは、単純にユーロポンドを「売る」ことと同義になります。

これがユーロポンドでは順張りより逆張りが機能しやすいという理由です。

もうちょいバラして考えてみましょう。

  • ユーロドルの「売り」:ユーロ「売る」ドル「買う」
  • ポンドドルの「買い」:ポンド「買う」ドル「売る」

ドルは「買う」と「売る」があるので相殺されるのが分かると思います。残りのユーロ「売る」とポンド「買う」を掛けあわせるとユーロポンド「売り」と同じことになるのが分かると思います。

この上がり過ぎたとか下がり過ぎたというのを一定のルール化すると、噂の「サヤ取り」の手法となります。

 

ユーロ円とポンド円を使ったサヤ取り

ここで、ユーロ円とポンド円を使ったサヤ取りの検証結果をご紹介します。3年前から実際に運用しているので途中からはフォワードとなります。前述の通貨ペアはユーロドルとポンドドルを使ったものでしたが、ユーロ円とポンド円を使っても問題ありません。大切なのはふたつの通貨にできるだけ「相関関係」があることです。

【EUR/JPY】

ユーロ円のサヤ取り

  • 検証期間:2000年〜2014年12月
  • 損益:+11,758pips
  • 勝率:54.0%
  • 平均勝ち:176.8pips
  • 平均負け:141.5pips
  • PF:1.49
  • PR(損益率):1.25

 

【GBP/JPY】

ポンド円のサヤ取り

  • 検証期間:2000年〜2014年12月
  • 損益:+15,633pips
  • 勝率:55.2%
  • 平均勝ち:233.7pips
  • 平均負け:164.5pips
  • PF:1.52
  • PR(損益率):1.42

ユーロ円とポンド円の価格差を見て一定のルールで売買するだけでこれだけの利益が得られることがわかります。もちろんテクニカル指標は使っていません。実際は「資金管理」を使うことでさらに優位性のあるトレードとしています。

ここでユーロとポンドを買ったり売ったりするだけなら、シグナルに合わせてユーロポンドを売買しても良いのではと思った方もいらっしゃると思います。価格の歪みがあるのか、ユーロ円とポンド円を足した成績にはなりません。

単純にユーロ円とポンド円のスプレッドを足してもユーロポンドのスプレッドにならないというのもひとつの理由です。

 

【EUR/GBP】

ユーロポンドのサヤ取り

  • 検証期間:2000年〜2014年12月
  • 損益:+3,109pips
  • 勝率:52.0%
  • 平均勝ち:67.7pips
  • 平均負け:56.7pips
  • PF:1.31
  • PR(損益率):1.20

しょぼいと思われたかもしれませんが、ユーロポンドはユーロ円とポンド円のボラティリティ(値動きの幅)に比べると、この場合は4分の1ほどになります(時間足によって異なる)。そのため、実際には4倍した+12,436pipsとなります。

 

サヤ取りは似た動きをするふたつの通貨を見つける

さあ自分だけの通貨ペアを見つけよう! と少年向けトレーディングカードみたいなことを言うつもりはなく、サヤ取りは似た動きをするふたつの通貨を見つけることが大切です。

有名なのは前述の同じ欧州通貨であるユーロとポンド(EUR/GBP)です。ほかにはオセアニア通貨として知られる豪ドルとNZドル(AUD/NZD)。資源国通貨として知られる豪ドルと加ドル(AUD/CAD)。リスク回避通貨として知られるスイスフランと日本円(CHF/JPY)などがあげられます。

割りとマニアックな通貨ペアが出てきましたが、僕はこれらはすべてトレードしています。みんなと同じである必要はどこにもなく(だからと言って自分だけとひとりよがりになる必要もなく)、利益を上げるために優位性のあるトレードをする、そして継続することが大切です。

ここでリスク回避通貨として知られるスイスフランと日本円を使ったスイスフラン円を使った検証結果を見てみます。

【CHF/JPY】

スイス円のサヤ取り

  • 検証期間:2000年〜2015年1月
  • 損益:+9,797pips
  • 勝率:57.0%
  • 平均勝ち:114.6pips
  • 平均負け:105.8pips
  • PF:1.43
  • PR(損益率):1.08

スイスフラン絡みの検証では今後必ずと言っていいほど出てくるだろうスイスフランショックがあったときの成績。スイス円の検証結果はスイスフランショックがあったときの結果も分かるように2014年12月ではなく、2015年1月までの成績を掲載します。

これは成績を盛ることが目的ではないので2014年12月までの成績は+7,091pipsとなります。もちろんスイスフランショックでも安心して使えるということを誇示したいわけではなく、これはたまたま上手くいった例にすぎません。

反対の方向にポジションを持っていた場合、3,000pipsほどの損切りは覚悟しなければならなかったと思います(スイスフランショックのおかげでゆっくりできるというのもたしかに事実なのですが)。

スイス円の検証から分かるように、ユーロとポンドだけではなく、異なる通貨の組み合わせでも、比較的相関関係がある通貨において、サヤ取りは十分に成り立つことが分かります。

同時に、たくさんの利益を得られることは、たくさんの損失を出す可能性もあることを意味します。そのために調子の良いひとつの方法に頼るだけでなく、通貨ペアや手法を分散させることが大切です。

これは「窓空け」だけ「指標だけ」と拘っている人を見ても思います。不調時に手法を投げ出して聖杯探しをしないためにも、「なにごとにも拘らない」拘りを持ちます(Dr.M)。

 

まとめ

「サヤ取り」を使ってFX相場から利益を得る、いかがでしたでしょうか。

裁量トレードで上手くいかず、システムトレードも上手くいかない という人が流れ着く場として、高い勝率で何やらすごい技術を使っていそうなサヤ取りというイメージがあります。しかし、それらは商材屋の思う壺でもあることが大半です。

相場から利益を得る方法は小学生でも分かるルールというのは間違っていないと思っています(間違っているかもしれませんが)。


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しゃまらーしか

しゃまらーしか

ひょんなことからFXサイトを作ったシステムトレーダ。東京都港区在住。スプレッドシートを使って過去のチャートを分析するのが得意です。MT4を使ったEAの開発もしています。大好物の甘い物を求めて、今日もVivienne Westwoodのお洋服をこしらえて甘味処を探索しています。

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