FX市場は参加者の90%が負けると言われています。それでもインターネット上には「勝っている」と自称するグレイな人々が多く存在します。もちろんこのブログにしたって曖昧な点は同じです。
FX業者のセミナに参加しても、たくさん本を読んでも、みんなが使っているEAを使っても利益が出ないと嘆く人は多くいます。
かの有名な「ゾーン」の言葉を借りると、
学校で好成績を取るため、キャリアを積むため、他人との関係を築くために学んだ術、日常生活を維持するためにすべきだと教え込まれた術が、トレードでは不適当というのだ。
となるのでしょうか。
すべての学歴を無視した相場は本当の意味で平等なのかもしれません。僕は学歴は普通に生活する上では大切だと思いますが、相場においては肩書に使ったところで何ひとつ役に立たないと思います(それでもあった方が良いと思います)。
FXで勝てないことに対してメンタルを述べるつもりはありません。
ここではFXの「勝率」について、今一度見ていきましょう。
勝率
勝率とは勝利した割合を表します。
ことFXにおいては、総トレード数÷勝ちトレード数で求めることができます。
ここでよく本で論じられることに、次のトレードは勝つか負けるかというものがあります。
たとえばコイントスをします。3回続けて表が出ました。次の1回で表が出る確率は? というものです。
正解は何度表が出ようが次の1回で表が出る確率は50%になります。
1回ごとのコイントスは「独立事象」のため、これまでのトレードは関係ないというものです。
FXでもトレードは1回ごとの「独立事象」と言われているため、勝率50%のシステムを使うと次の1回のトレードは勝率50%になります。
本当?
というのが今回のテーマです。
期間勝率
「期間勝率」とは一定の期間においての勝率を表します。
ここでひとつの検証結果を見てみましょう。

上の図は、毎日ドル円を始値で「買い」、終値で「決済」した2001年〜2014年までの直近10回における期間勝率の変化です。
当然、何も優位性がないまま毎日買うだけの手法なので、成績は50%。
大数の法則が機能しており、50%を下回ると上昇し、50%を上回ると下降することが分かります。いわゆる「平均への回帰」と呼ばれるものです。
肌感覚と呼ばれるもので勝率が80%くらいのときに枚数を上げると、不思議なほど勝率は下がり大きく資産が削られていきます。
逆に、根拠もなく調子が悪いなと思って枚数を下げると、またまた不思議なことに勝率が上がり取り戻せるはずの利益を得られなくなります。
きっと多くのトレーダがこの悪循環に陥ったことがある、もしくは陥っている人は多いと思います。
「最近、調子悪いな」の正体は、この期間勝率が原因です(一定の手法を使っていることが前提になります)。
長期間によるグラフは見にくいので、2014年のみのグラフを見てみましょう。

2014年は長い目で見ると円安相場が継続したように見えましたが、毎日「買う」を続けても勝率はあまり変わらないことが分かります。
おなじように直近10回の期間勝率が100%になれば次第に50%まで低下し、40%を切ると上昇しています。2014年は円安相場だったため「買い」の方が「売り」より優位性があったと言えます。
大切なのは振り子のように期間勝率は変化するということです。
期間勝率を使ってトレードする

実際のFXトレードでは勝率のほかに、1回1回のトレードの損益が成績に影響してきます。勝ちが1pips、負けが10pipsでは1勝1敗でも負けてしまいます。
上の図は、先ほどと同じようにドル円を毎日買った成績です。損益は+3,344pips。プラスにはなっていますが到底使えるものではありません。
数値の動きを分かりやすくするために今回は除外していますが、ここにスプレッドがかかってきます。
期間勝率を使ってトレードする1

続いては「期間勝率」を使ったトレード方法です。損益は+3,010pips。詳細は割愛しますが、勝率が下がってきたところで「買う」というものです。
損益pipsは「毎日買う」のとあまり変わりませんが、右上がりの曲線となり現実的なものとなりました。
期間勝率を使ってトレードする2

「期間勝率」を使ってさらに「資金管理」も応用したトレードです。損益は+6,271pips。トレードが不利な場所ではトレードを見送り、有利な場所だけでトレードする。さらに確率が高くなるところで枚数を増やすことでこれだけ成績を改善することができました。
まとめ
FXで勝てないのは勝率を無視したトレードに原因がある、いかがでしたでしょうか。
まったく優位性のない手法ですら、期間勝率を取り入れると成績を改善できることが分かりました。
普段トレードしていて、なんとなく調子が悪いの「なんとなく」を数値化すると様々なことが見えてくると思います。テクニカル指標をこねくり回すことに疲れたら、期間勝率を意識したトレードを意識してみるのもおすすめです。
こういう考え方が正しいのかどうか、しばらく考えていました
システムトレードの原則から云えば邪道でしょうが、要は市場に歪が蓄積するかどうかだと思います
蓄積するのであれば、その歪を何らかの指標に反映させてシステムに取り込めばよいことになります
mmi様
コメントありがとうございます。
人によって色々な考え方があるのは当然だと思います。
指標に反映させるというのも面白いかもしれません。
これは、ラリーウィリアムズの
曜日のバイアス
取引日のバイアスのことでしょうか?
タッド様
コメントありがとうございます。ラリー・ウィリアムズさんは好きですが、これは曜日バイアスや取引日のバイアスとは関係ありません。