2015年8月現在、政策金利は7.50%と新興国ならではの超高金利を見せています。
電車の中吊り広告やインターネット広告を見ても「トルコリラをレバレッジ何倍で買うと年利◯%」と煽っているものが多くあります。「さらにレバレッジを上げるとこんなに!?」そこには机上で繰り広げられる夢物語が存在しましょう。
しかし、トルコリラの利下げや政局不安、地政学的リスク(地政学リスク)によるさらなる下落リスクを考えるとすぐに飛びつくのは難しいものです。
そう考えると、FXにしても何にしても広告ってすべて都合よく作られた嘘っぱちだらけのものなのだと改めて感じさせられます。どの分野でも良いので、ひとつ精通している分野があると、広告と現実を比較することでどれだけ誇大しているのかが分かりそうです。
1万通貨あたり1日125円にもなるトルコリラのスワップ金利。
1ヶ月では3,750円、1年間では45,625円と夜な夜な皮算用をしたくなる気持ちも分からないではありませんが、ここはひとつ利益を上げるためのFXをしたいところです。
今回のテーマは、マイナススワップなんて吹きとばせ、トルコリラを使った「売り」トレードと題してお送りしたいと思います。
トルコリラのリスク
「題して」などと言っておきながら、特に題したわけではないのですが、まずはトルコリラにあるリスクについておさらいをしていきます。
トルコリラのリスクについて検索してみると、「トルコリラってこんなにすごい」「毎日こんなにスワップ金利がもらえる」ということに付随して、前述のように「下落リスク」や「地政学的リスク」などが語られています。
トラリピを代表する連続発注機能を使えばこんなに簡単に為替差益とおまけにスワップ金利がもらえる、「ただし―」というものです。
それは、リスク管理をきちんとしなければコツコツ貯めた為替差益とスワップ金利を一度で吹き飛ばしてしまう可能性があるよというもの。
実際にお仕事でブログを拝見していても、トルコリラが下落する度に、相場から退場していく方、ブログの更新が滞る方(あっ)、気が気じゃない様子に陥る方を多く見てきました。
反対に言えば、それだけ高金利のトルコリラには人を魅了する力があることになります。
トルコリラを売ってみる
さて、ここでひとつトルコリラを売ってみたいと思います。
その前に定義すると、「トルコリラの売り」というのは、トルコリラ円(TRY/JPY)の「売り」ポジションということです。
世界的にはドルトルコリラ(USD/TRY)の方が有名ですが、(自分を含めて)日本人にとってはトルコリラ円の方が馴染みやすいと思います。
ドルトルコリラの「買う」ポジションでも「ドル買いトルコ売り」になりますが、話がややこしくならないようにトルコリラ円に統一します。
トルコリラ円を使った週足トレード
まずはトルコリラ円を使った週足トレードの検証結果を見てみましょう。

結果は-658pips。
ヒストリカルデータの都合上、検証期間は2007年2月〜2015年8月になります。
上の検証では「買い」も「売り」も行っています。
ここで肝心なのは「買い」と「売り」の両方を行っていることです。
高金利通貨ペアの場合、週足ほどの長さになると「買い」と「売り」で優位性が異なることが多くあります。
トルコリラ円の「買い」の検証結果
続いて、トルコリラ円の「買い」だけを行った検証結果です。

結果は-2,804pips。
トルコリラは政策金利が高い通貨として知られていますが、それでも2008年の15.50%から2015年の7.50%まで50%以上下落しています。
毎日トルコリラでスワップ金利が発生しても、それを吹き飛ばすほどの為替差損が発生していることが分かりました(あくまでこの手法ではのお話です)。
トルコリラ円の「売り」の検証結果
そして、トルコリラ円の「売り」だけを行った検証結果です。

結果は+2,146pips。
今度は比較的きれいな右肩上がりの曲線となりました。
一箇所大きく跳ねているのは2008年の10月です。政策金利が変わったということはないのですが、リーマンショック後に大きく相場が動いたと思われます。
トルコリラ円の「売り」に資金管理を使う
今度は優位性の高かったトルコリラ円の「売り」に資金管理を使ってみました。

結果は+4,369pips。
資金管理をしないと+2,146pipsなので、成績が約2倍改善されたことになります。
今回検証に使った手法はテクニカル指標を使わないごくシンプルなものです。相場に使う手法云々よりも「買い」と「売り」という前提、そして何より「資金管理」が大切ということが分かりました。
「買い」と「売り」というのは、週足など比較的長い時間足のときに影響が出やすい特徴があります。
ただし、政策金利の変動によって左右されるので、注意が必要です。
まとめ
トルコリラのリスクを考えると「売り」に優位性があるのかもしれない、いかがでしたでしょうか。
トルコは買う方が良いという広告も見方を変えるのも面白そうです。
誤解されないように書いておきますが、トルコリラの買いに優位性がないと言っているわけではありません(現在、トルコリラのスワップ金利狙いのMQLプログラムも書いています)。
FXに限らず相場はシンプルな手法、そして資金管理が大切なのだと思います。